下条村村民センターにて、前村長の伊藤喜平様を講師にFFJEのディスカッションテーマである「政治」について、在職中に行った様々な政策について講演して頂きました。

 

伊藤氏の政策は村民との結束を強めて官民で互いに協力しながら公共事業のコストカットを図り、新たな投資に余剰資産を回すというものであった。具体的には、小規模な公共事業については自治体が行うのではなく、資材を村民に提供する代わりに村民自身で行ってもらうものがある。その政策を行うことによって、直接的なコストカットだけではなく、村の事業に村民が直接関わることによって団結感を抱かせることによる今後の持続的な村の運営の円滑化が図れるのだった。

また、このような改革は村役場の職員に対しても行われた。それまで働き方が非効率だった職員を民間企業に研修に行かせることで、民間企業の厳しさ、仕事の効率の良さを体感させて職員の意識改革を実現した。民間出身の村長自ら職員に対して民間の厳しさを力説するのと比べて、実際に研修によってその厳しさを体感してもらうことは効果に格段の違いがあったようだ。

こういった内容をFFJE代表の清水君にフランス語通訳として仏学生たちへ伝えてもらった。聞く側の学生と同じ立場の同時通訳者は、聞いている側が聞きたいところを聞きたいように通訳してもらえるようだ。
もちろん通訳者の語学的な力量や伝える内容についてのバランス感覚が求められるのだが。

このようなコストカットによって若者向けの村営住宅の建設、英語教育の充実など投資的な事業を行うことが可能になった。これらの投資的な事業は多くの自治体が行いたいと考えているにもかかわらず負債の影響でなかなか実行に起こせていないものである。下條村も伊藤氏在職中のコストカットの政策を行うまではそのような自治体の一つであった。そしてその成果として、全国の地方自治体において出生率が下がっているという風潮がある中での出生率の上昇、それまで全国の都市部と比べて低かった英語教育水準を都市部と同等な水準まで引き上げること、さらに下條村にあった負債40億円を伊藤氏の任期中に70億円の資産に変えるということを達成した。

 

学生たちはその黒字化の数字を聞いて大変驚いていた。ただ移民政策等で少子高齢化や人口減少の対策を行ってきたフランス人学生からは、少子化や人口減少がそれほど大きな問題なのか?という質問が出た。対して伊藤氏からは、対策しなければ村がなくなるほどの大問題だった、と危機感を明確にする回答があった。

様々な施策を実行する上で一番の抵抗が職員たちで、一朝一夕に意識改革が成されたわけではない、と当時の苦労話もお聞きしました。また、住民が自ら工事をした事については、やはり最初は不満も出たがやってみれば達成感、愛着、対抗意識と副次的にメリットも多く英断を下してよかったとのことでした。そういった現場での生々しいエピソードもあり、学生たちは成果が出るまでの苦労についてもよく理解したようで、そうかそうかと頷いて話に聞き入っていました。

 

自治体を活性化させるための投資的事業や村の運営におけるコストカットを効率的に行うには、官民の密接な協力とともに職員の意識改革が重要になってくるということを、その実績を残された方の講演で学ぶ良い機会となりました。

昼食は同じ会場でお弁当を食べ、講師の伊藤氏にもご一緒して頂きました。